僕の実習も今日で4日目です。
来週からはどうやら食品班みたいなんだ。まだ正式に聞いてないけど。 実は昨日、鬼瓦所長に、 「明日からは、イヤマフ(?ヘッドフォンのように耳を覆うもの)は作業中にはつけないようしようね」 といわれ、気になって夕べはあまり眠れなかったんだ。 その前の日は、 家に帰って、いつもは今日は何をしたかは、聞かれないといわないのに、自分から、 「箸置きとドーナッツを作ったよ」というと、お母さんが、 「珍しいことです」 と、喜んでいたのに・・。 今日は、言われた通りイヤマフは外して、昼休みはいつものように大好きな絵本を眺めていたんだ。 すると、「昼休みはかけていいよ」と鬼瓦さん。 でもそうするまでもないかと、そのまま本を眺めていたんだ。 すると、 「みんなに読んで聞かせたら?」と、鬼瓦。 いつの間にか、給食が終わったテーブルに仲間や職員さんが6,7人。 「大きなカブ」を読んだらみんな、大きな拍手をしてくれたんだ。 うん、ちょっとビックリして得意な気分になったかな? 学校では、いつも昼休みは一人で自転車に乗ってるんだ。 面接の時に、そう言って、本を読むのも好きだと言ったら、 「じゃあ、本持って来ていいよ」といわれてたから・・・。 そのときお母さんが、 「いいんですか?ありがとうございます」なんてびっくりして言うもんだから、 「昼休みは自由なんだから当たり前やろうもん?ここでは自転車に乗れるスペースはないから・・・」と、逆に鬼瓦が??!!だった様子。 僕もお母さんも、 「あれはダメ、これもダメ」というのが癖になってるのかもね。 そういうことで、「音が気になる」という僕に、イヤマフもかまわないから持って来て良いということになってたんだ。 昨日連絡日誌に、鬼瓦が書いてたんだ。 「明日からは、作業中はイヤマフはつけないようにしようねと話しています。(この話題はしないこと。気にするから)たいしたことではありません。」と。 するとお母さん、 「この件については今度お伺いした時に相談します」と書いたんだ。 鬼瓦ははそれを見て、 「なんちゅうこったい。母親が小さいことを気にするけん、敏感に伝染するんや・・・」って、苦虫噛んでたんだ、きっと。 だからかな、今日は、僕の出番の「朗読劇場」をとっさに作ってくれたみたいなんだ。 僕が、調理員さんと仲間に読み始めると、だんだんみんなが寄ってきたんだ。 鬼瓦の呼び込みだったらしいけど・・・。 鬼瓦さんは、「ありのままの自分から出発する」とよく言うらしい。 無理せずありのままの自分を出し、向き合うところから・・・って。 で、ありのままで、イヤマフつけてたら、「明日からはダメ」というんだもん。 ちょっと、不安になるよね。だから、夕べは気になって眠れなかったんだ。 で、ありのままでいると、今度は鬼瓦はジャブで揺さぶりをかけてくるんだよ。 例の「矛盾を作る」ということらしい。 押しつぶされそうな課題ではなく、ちょっと頑張れば乗り越えそうな壁を作る、そんな矛盾らしい。 専門的には「発達の最近接領域に横たわる矛盾」というらしいが・・・、そんなのはどうでもいいや。 ぼくも、ちょっと気にはなったけど、これぐらいでパニックにはならなかったから・・・、そういうことかな? で、ご褒美に「主演男優」になれる舞台を作ってくれたのかな? 鬼瓦さんは、僕には「自己肯定的な体験」をたくさん経験させる必要があると考えているらしい。 そうかもしれないなあ。 いつも、「あれダメこれダメ」だったような気がするから、 「ダメ」とか「ごめん」という言葉にすぐに敏感に反応しちゃうもんな。 気が休まらないよ、全く。 でも、僕が鬼瓦さんんの術中にはまったかどうかは、僕だってわかんないよ。 ましてや鬼瓦さんに、そんな簡単にわかってたまるもんか。 鬼瓦は、今日家に帰って、僕がお母さんに何をいい、どういう姿を見せるか気になるんだろうな、きっと。 僕も今のところは分からないよ・・・。 ・・・いいじゃない。 鬼瓦さんはいつも言ってるもん。 「成るようにしかならんと!」って。 出たところが僕の今日の姿でしょ。それでいいや。 ・・・というわけで、今日もつぶやいてみたんだけど。 (4日目の実習生) |
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NO.1446 トラウマ。
タッチンには悪いと思うんだけどよ、・・・とにかくあいつが怖いと言うかいやなんだ。 俺は、陶友に来て10ヶ月が過ぎた。 兄ちゃんが先に来ていたので、俺も来ることになったんだ。 うちは兄妹5人。 どういう訳か、みんな、自閉症だの高次機能障害だの発達障害だの、わけの分からない名前がついている。 この10ヶ月、みんな俺の声も聞いたことが無いだろう、あの若い男職員以外は、多分ほとんど。 ただし、おれが「ガー!」とか「ウー!」と言う声は、何度か聞いただろうな。 みんなびっくりしてるもん。 タッチンが側に来て、いやな時にはそう言って、ドタバタするんだ。 はじめのうちは作業所の建物にも入ることが出来なかった。 その原因は、多分タッチンだけではなかったかもしれない。 毎日毎日外から作業所を眺めていただけだが、もう忘れたが、いつの間にか入れるようになった。 ここの人たちは悪い人じゃなさそうな気がしたからかもしれない。 紙漉き班で、牛乳パックのパルプはがしが俺の日課だ。 タッチンが視野に入らないように、上着をスポンと頭にかぶり・・・だ。 この俺の奇妙な行動を、職員達は、 「なんでやろう?」「何が原因なんや?」ち、議論したことがあったらしい。 「タッチンが、ユーがポテトチップを持っているのにちょっかい出したからかな?」と、若い担当の職員が言いよった。 鬼瓦所長は、 「そんぐらいでそげな事はなかろうもん。もしかしたら、タッチンが親父さんに似てるんじゃないか?母親に聞いてみてくれ。」と言うとった。 その時には、なんかあいまいになって真偽のほどは分からなかったようだ。 俺は、親父にさんざん叩かれて、今で言う「トラウマ」になってしまったのだ。 だから、大体、男は怖くて好かん! そんなこんなで今は、離婚して母ちゃんと兄妹の6人家族やけど・・・。 このことは面接の時に話しとったけん、鬼瓦が現場の勘(?)て奴で「親父が原因」と思ったらしい。 この間の、一泊旅行の時は班行動やった。 ウエ!やばい!タッチンと一緒か! でも旅行には行ってみたいな。 若い職員達は、俺たちを別々にしようと心配してくれた。 ところがだ、あの鬼瓦の奴! 「初めから別々に離さんがよか」と。 「いつまでもこんな関係でいい分けじゃなかろうもん。とにかく行きの車だけは一緒に乗せて様子を見ろ。視野に入らないような席取りをして・・・。どうしてもダメなら差し替えればいいんだ。」とか、えらそうに荷物を積み替えるかのように指示しやがった。 鬼瓦の奴は、「物事を固定的に見るな。全ては変化し発展するんだ。現状を変革する、変化をどう作り出すかが実践だ。」などと日ごろからえらそうに言うんだ。・・・人の気持ちも知らないで! ご丁寧に、「旅行にいきたいという気持ちと、一緒はいやだなと言う気持ちがぶつかるんだ。そういう過程を経て、要求が今ある困難を乗り越えるエネルギーになるんだ。その矛盾を、どうとらえ止揚するかなんだ、教育とか実践は・・・」と、えらそうな理屈までのたまいやがった。 鬼瓦が所長の権限を傘に屁理屈を言うと、若い職員達は従うしかない。 かくして俺は地獄の2時間を味わうことになった。 8人乗りのレンタカーの、一番後ろ奥にタッチンは乗り、順々に詰めて、俺は若い職員が運転する助手席。 一番遠くて、視野に入らない距離なんだ。 イヤでイヤで、乗りたくなくて、しばらく抵抗したが、 やっぱり旅行は行きたいと思ったので、しぶしぶ、自分から乗り込んだ。 職員も、鬼瓦の奴も「先ずはしてやったり」と言う顔で出発したのだった。 ああ、車の中のことはあまり覚えてないよ・・・、と言っておこう。 果たして現地に到着。 流石に若い職員も鬼瓦も、俺の忍耐を認めてくれて、現地からは無罪放免、いや、班を変えてもらった。俺にとっては一歩前進だったのかもしれないな。 かくして2日目は別行動だから、そこそこにリラックスして楽しめた旅行だった。 鬼瓦の奴、次は何を企んで拷問をしかけてくるかわからない。 ・・・でも、まあ、人生で初めて仕事をしにくる場所が出来て、給食もうまいし、第一家にいないだけで母ちゃんも少しは楽だろうしな。 明日からも、パックはがしに頑張るとするか。 憎たらしいけど、鬼瓦の読みは、当たっていたよ。 当時はあいまいなままだったが、陶友祭の時に母ちゃんがタッチンを見て、「確かに父親に、どこか似ている」と、事務員さんにチクッタらしい。 それにしても、なんでこんなに心の奥深くまで、脳の髄まで怖さが染み付いてしまったんだ! 「トラウマ」と言うらしいが。 俺は巳年生まれで、トラ(寅)もウマ(午)も関係ねえのによ。 タッチン、すまねえな。悪気は無いんだ、許してくれ。 (ダルビッシュじゃない ユー) |
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僕は今、支援学校高等部から「工房陶友」に実習に来ています。
鬼瓦所長の下で、今週いっぱいは陶芸をします。 何をすればいいのか不安でしたが、鬼瓦は、 「自分が好きなものをつくっていいよ」 と、さも優しげに言います。 はじめは、どうしようどうしようと思っていましたが、好きなようにするようにしました。 すると、「おお、これ何?湯飲みね。いいじゃない。」と、鬼瓦。 僕は時々気になって、 「所長さん何してるの?」と聞きます。 すると、 「気にせんでいいと。今、所長さんの仕事しとると」といいます。 給食の時に、 「今何食べてるの?」と聞いたら、 「給食の時は給食を食うにきまっとるやろうが。」と。 ・・・ いや、鬼瓦やけん、なんか違うものを食べてるのかと思ったまでなのに・・・。 先生やお母さんは僕には優しい言葉で話します。 僕が色々なことを気にするので、不安にならないようにです。 実習面接の時に、そんな様子を見ながら、鬼瓦は、 「じきになれさせてやるよ」と言って、先生が、「そんなとても・・・」と言っていましたが・・・。 ・・・すると、 「もう給食、食べたとね」とさも優しげに付け加えます。 僕は、なんでかわかりませんが、人のことが気になるのです。他の人にも、見れば分かることを、 「今、何してると?」と、聞いてしまいます。 他の人たちは優しいから、 「今、○○しよるよ」と、言ってくれます。 僕は安心します。 なんで鬼瓦は、つっけんどんに、言うのでしょうね。 他の職員さんに聞いたら、 昨日の実習初日は、大きな声を出さないようにと、ずいぶん気を遣って疲れたそうです、鬼瓦は。 僕が気にしすぎかもしれませんが、 多分小さい時から、自閉症で色々問題を起こし、しょっちゅう注意ばかりされたからかもしれません。 多きな声や、「ダメ」と言う否定的な言葉には敏感に反応してしまうのです。 すると、学校ではでは先生が、 「シン君のことじゃないから大丈夫だよ。シン君はちゃんとやってるよ。」と、優しく言ってくれるので安心するのです。 鬼瓦は、 僕が周りによる過干渉かなんかで、萎縮してるのじゃないかと見ているようです。 「いちいちくっついてきて色々言われたらたまらんやろうもん。 先ずは自由に自分がやるようにやっていいんだよ。自由に伸び伸びと自分を出せることから、全ては始まるんや。細かいことは言わんでよかと。」が持論のようですが・・・。 流石に、「放し飼いの理論」とはいってませんが・・・。 ホントかな?これは支援をサボる口実にも思えます。 そして、僕のことは、色々言われすぎて、自分で自己評価が出来ないようになっているんじゃないか、自分なりにこれでよし、と言う見方・判断が出来ないのではと、勝手に思い込んでいる節があります。 そうなのかな?僕だって自分の事なのに分かりません。 ン~~!ままよ、今日も、好きにお皿や箸置きでも作るとするか。 昨日の、連絡帳には、 「今日は、初日の緊張で疲れたと言っていますが、 流れに沿って作業に参加することが出来ました。」と書いていました。 後で、心配性のお母さんのために、 「どうぞ、ご安心ください。」と付け加えればよかったなあと、言っていたそうです、鬼瓦の奴。 あれでも結構気を使ってるのかもしれません。 10日間の実習、どうなりますことやら・・・。また感じたことがあったら、つぶやいて見ます。 (実習生) |
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今日、職員のオカチャンが、障害者自立支援法訴訟の福岡での裁判を傍聴しに行きました。
帰ってきたオカチャンに感想を聞くと、 「お母さん(今回は、重度障害のある人が原告となっているので、お母さんが意見陳述をしています)の言葉がすごく胸に響きました。障害を持つ家族みんなの言いたい事を代弁しているようでしたよ!」との言葉がまず第一声でした。(詳しい感想はあとからオカチャンからあるでしょう・・・) オカチャンが、資料として配られた、お母さんが読まれた意見陳述のコピーを持って来てくれました。 そこには、具体的事実と、たくさんの想いが書いてありました。 これまで、様々な困難があったこと、必死の想い、仕事と療育の両立・・・ 障害へのサポート体制があれば、どんなに生活が変わっていたか。 この障害者自立支援法では、そのサポートを受けるためには -‘障害者とその家族が普通の生活’をしたければ- お金を払いなさい、という仕組みなのです。と。 この意見陳述の全文は、 障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす福岡の会→ コチラ か、 障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会→ コチラ のホームページに近々アップされると思います。 アップされたら、コチラでも紹介したいと思いますが、是非お読み下さい。 胸が熱くなってきます。 (とくい) |
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