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せっかく張り切っていましたが。 
先週末、福岡では大雨が降りました。
ニュース等でも報道されているとおり、ものすごい豪雨でした

7/25(土)、26(日)は毎年、筥崎宮の参道である‘夏越祭’の日でした。
応援団ゆうゆうと一緒に、陶友の仲間も販売をします。

1日目は、なんとか天候ももって、販売ができたのですが・・・
2日目は、朝からあいにくの大雨。
警報も出るほどの大雨だったので、祭りは残念ながら中止に


朝、この日販売する担当だった仲間の家に中止の電話をしました。
「残念ながら、この大雨なので中止になりました。
今日は、出勤の予定でしたが、お休みです。」


朝からの大雨で、電車もバスもちゃんと動いているだろうか・・・という状態だったのですが、
ツンクンの家では「ツンクンは、朝から販売に行く準備も済ませて、家の中をウロウロしていました。」
カッチャンの家では「今日のこのバザーに照準を合わせているみたいで、『雨がひどいし、家を出るのはもう少し待っておきなさい』って言うのですが、なかなか納得しないんです…職員さんから言ってもらえれば少し納得するかもしれません」と。電話を代わり中止を伝えると、電話の向こうで「残念」と泣きそうになっているのが見えるようでした。
ナツサンも、「お昼から止むって言っていたから・・・」と、やる気十分でした。


せっかくの祭りで降る雨。 あ~イヤダ!
8/2(日)、9(日)に近くの唐人町商店街で祭りがある。
仲間たちは‘ボーナスのために!’と張り切って販売に行く。
今度こそ降らないでくれよ~~~絵文字名を入力してください

                                 (とくい)
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テーマ:福祉のお仕事 - ジャンル:福祉・ボランティア

とくい

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「 気持ち良かです!! 」 
先週、陶友の仲間(Mさん)と私で6月末以来に温泉に行ってきました。月に2回ほど行くようになってきているところです。




Mさんは高齢の方で、陶友の近くに一人暮らし。軽度とはいえ知的障害をもったうえに、幼い頃から身の回りの事をやってもらう事がほとんどだった事も重なり掃除は大の苦手。


生活実態は、髭や髪など身だしなみも余り気にならない様子で・・・・。 特に清潔面・衛生面に課題が大きく、支援を必要とされている方です。健康面では寝酒が朝まで残り、酒の匂いをさせて出勤してきて注意されることもしばしば。昼食は陶友の給食。夕食は、馴染みのコンビニやホームヘルパーの利用!!


長期休み時には職員がシフトを組んで様子を見に行ったりします。酒を飲みすぎて倒れていないか・・・(今の時期は熱中症になっていないか?など・・・)、慢性の疾患もあり、毎日飲酒の習慣のあるMさんの食生活や健康の問題は命に関わる大きな問題と言えます。


今までは作業後などに、職員のみが生活支援に入っていましたが・・ヘルパーさんを2年程前から利用しています。でも最初から簡単にヘルパーを受け入れられたわけではありません。 慣れた職員しか部屋には入れなかったり、「○○はするな、○○はいらない!」など支援に入る人も限られていました。しかし、高齢化していく中でMさんの生き方を尊重しながら、より人間らしい生活へと支援していく必要性がありました・・・。それには毎回職員だけでなく、もっと社会資源を活用することも必要でした。


利用するとなると、当然毎回違うヘルパーさんが来られる訳ですから、(今も人間関係調整が必要ですが・・・)練習を重ねる意味で実習生と職員が支援にいったり・・・徐々に職員以外の方が支援に入る事に慣れるように取り組みました この期間だけでも2年ほど。実習生も障害をもった方の1人暮らしを学び、もっと何か自分たちも動こうと・・・「チームM」を結成してくれて、月に数回掃除や、話し相手になってくれたり・・・・



まあ、そういった生活支援が必要な方です。(他にもそんな支援を必要とされてる方はいぃ~~ぱいおられますが・・・


ヘルパーさんだけでも不十分なので、職員も当然見に行ったり支援します。「まだ、ニュウヨク カイジョは要りません!!ジブンで入れます!!」と言われ、そのサービスは受けてませんが・・・・1人で清潔管理は・・・・・実に厳しい なので、温泉を提案して( 「銭湯はスカンです!を受け・・・ 」)月に2回ほど私と温泉に行くようにしたんです。



話もしながら・・・まあぁ~、よく時間をかけて洗います(笑) 私は体~頭を3~4回ほど洗う間にやっと1回りといった感じで。会員カードも作って・・・「温泉、気持ちよかです! 泡の・・・ジャグジー・・・ 」最近は温泉後の夕食も楽しみにしています。


しかし、家での風呂がまず大事!!と、最近風呂ノートをつくり本人と確認しあっています。



M:7/29(水)(ヨル) ・・・ ○      私:うぅ~ん本当に○・・・・・??

(クリゲノ)








テーマ:障害者作業所 - ジャンル:日記

くりげの

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「(高齢者は)働くことしか才能がない」発言と障害者。 
 今日は朝から雷。
落ちたんじゃなくて、落としてしまった!

 よくあることではありますが、殿が陶芸の時に口辺を仕上げる鹿皮をどこかに捨ててしまったのです。自閉症のこだわりがあるから、気に入らないものは目の前から何でもかんでも消さなければ気がすまない。これまでも、「小さい!」といっては小さいのが良いと、ちょうどよい大きさに切ってあるものを半分に切ってしまい使い物にならなくしてしまったことがあった・・・。

 おまけに数日前このことが分かっていてだれも私に報告もしない・・・!
「なんばしよっとか!」・・・雷落としても仕方ないんだけどね(泣きたい!)


 さて、麻生総理の「(高齢者は)働くことしか才能がない」発言が物議をかもしていますが・・・。
以前には、柳澤伯夫元厚労相の「女性は(子供を産む)機械」発言もありました。

 政府・自民党というのは、つくづく国民を儲けのための道具、税金を納める道具ぐらいにしか考えていないのですね。まるで、「天皇のために命をささげよ」とでもいうように・・・。



 ところで、障害のある人たちはどうでしょうか?
悪名高き障害者自立支援法について見てみましょう。

 報酬単価というものがあります。
平たく言えば、一人の障害者支援にかかるお金です。
施設の種類によって、1日いくらで計算され施設の運営費として月々に振り込まれてきます。

 例えば、生活訓練や生活介護をする比較的重い障害者が利用する施設では、障害の程度により1人につき1日約6000~1万3000円。(施設の定員に拠っても単価は違いますが、ここは目安ということで・・・)

働く施設はどうでしょうか。
「就労支援事業」といいますが、大きく分けて2つあります。
比較的障害が軽く、一般就労を目指して訓練することを目的にした「就労移行支援事業」(原則として2年間限定)と、一般就職は無理だろうから、ここを働く場として利用していいですという「就労継続支援事業」です。

 同じ働く場ではありますが、就職を目指す「移行支援」の報酬は一人1日8500円、方や一般就職は無理だろうという「継続支援」は、5900円です。
ちなみに陶友 は後者です。

 ここでもお分かりでしょう。
障害者も、一般就労して「税金を払う身分になる」のが自立であり、より価値が高いから報酬単価も高くなるのです。

 ちょっと 余談ですが、「ここを働く場として利用していいですという『就労継続支援事業』」=仲間にとっては職場ですから、「なんで自分が働く会社にお金を払はないかんとね!」と、利用料の1割負担・応益負担に仲間たちは怒るわけです。

「人間の尊厳」踏みにじる政治
 そうです、麻生総理の発言は偶然ではなく、自民党政治の思想そのものなのです。
「老人医療にカネをかけるのは枯れ木に水をやるもんだ」
「牛も乳が出なくなった賭殺場に行く(働けなくなった年寄りは・・・)」

歴代の自民党の大臣の発言です。

これでいくと、
「税金も納める見込みの無い障害者に、お金をかけるのはムダだ」ということでしょう。・・・経済効率が第一で、そこに役立つものが人間として、いや国民としては社会的に価値がある。価値が無いものにお金うをかけるような政治はしない。


 社会保障2200億円カットも、後期高齢者医療制度も障害者自立支援法も、労働者派遣法も・・・すべてはこの思想に裏付けられているのではないでしょうか。「人間の尊厳」などという憲法の思想などは微塵も無いのです。

 福祉現場の日々の苦労はやりがいがありますが、それを励ますような政治に切り替えなければならないと思いませんか。

 福祉は政治そのものなのです。




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鬼瓦

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悲しさまじりの喜び。 
 夏休みが始まった。

子どもの頃の夏休みの朝はラジオ体操から始まった。
トランジスタラジオにあわせて6時半、集落ごとに眠い目をこすりながら集まったものだ。

最近は、テープがあるので時間はまちまち・・・、
そのラジオ体操の姿もあまり見かけなくなった。


 殿は、今シーズンも嬉々としてラジオ体操に通っているそうだ。
カードをもらい参加して、印をもらう・・・、自閉症の身体に染み付いた習慣だろうか?

 予備のカードがなくなっていたところ昨日、殿より若い役員のお母さんがカードを手配してくれたそうだ。

 「にっこり笑う35歳の息子を見ると、少し悲しさの混じった喜びが湧きます」
・・・父親からの連絡帳に書き込まれていた。

 日食があろうが、殿は今日もマイペースだ。


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鬼瓦

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コロコロ・・・!? 
昨日は、仲間のクラブの日でした。
私の行った班は、「ボーリングとマリノアシティ(昼食と買い物)」に行きました。

マリノアシティの昼食は、2グループに分かれて食べ、そのグループごとでお買い物
その後、合流してバスで陶友に帰りました

帰り道で、違うグループでご飯を食べたユコチャンに聞きました。
とくい「ご飯は何を食べたの?」



「ロ・・・ロコ・・・・・
ロッコロモロッコ!!   ・・・あれ?難しいね^^;」


ユコチャン、‘ロコモコ’(丼のようなハワイ料理)と言いたかったようです
「おいしかった」そうですよ




陶友では、月1回、仲間のクラブの日があります。
クラブでは、陶友の仲間が4つの班に分かれます。
班ごとに、話し合って行き先(やること)を決めて、クラブをやります。

去年までもクラブはやっていましたが、今年からは‘月1回’‘少人数(4班に別れ)’‘決まったメンバー’でやっています。
4班に分かれるためには、それだけ支援者も必要です。
職員の数も限られていますので、多くのボランティアの方に支えられながら活動できています。

また、課題もたくさんあります。
試行錯誤しながらです



来月も、クラブがあります。(8/29)
今度は、「遊園地に行きたい」「海に行きたい」などの希望が出ていますが、安全上の理由でボランティアさんがたくさん集まらなければ、叶えることができません。

お手伝いしてくれる方を、今からいっぱい集めないといけないな~
(学生さん、声かけるからね。よろしく

                              (とくい)
とくい

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喋ってみないとわからないこと 
7月のいろり塾がありました。(>>7月のいろり塾の報告はコチラ>>いろり塾ってなに?と思った方はコチラ

今回のテーマは、「こうだったらいいのにな」というテーマでやりました。
自分の身近な事から、日本全体の問題まで色々出ました。

その中で、「このままじゃおかしい!」「これじゃあいかん!」「日本はどこにお金を使ってるんだよ!?」という意見が出て盛り上がっていました。

その時、「じゃあ、どうなったら日本が良くなるんだろう?」と、言われ、しばし沈黙・・・・
「こうなればいいのに」(私だったら、「学費を無料に!」とか、「核兵器をなくす!」とか。)というのは考えていましたが、じゃあ「どうすれば」という所まで考えていなかったな、と気づかされました。

なんとなくはわかっているつもりでも、それを端的に言い表せない・・・・いかん!まだまだ修行(勉強?)が足りんな!!

でも、「誰かが自分の願いを叶えてくれるのではなく、自分が動いて変えなければいけないんだ!!」という事はわかります。

自分が主人公として生きていないと!!
                                    (とくい)
とくい

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「大殿のパンツ事件」 
 殿は35歳、その父君大殿は60代半ば過ぎである。

父君によるレポート、「大殿のパンツ事件」を紹介したい。

殿のパンツ引き出しには、異常なほど多くのパンツが入っております。
そして、毎日数枚はき替えています。
それに引き換え、大殿の引き出しには、
10年前100円ショップで買ったもの、ゴムがゆるんだもの、色が沈着したものなど、数枚しか入ってないのです。
 これでは、もし万一愛人が迫ってきても、大殿は困るのです。

 事はパンツだけでなく、靴下も同様です。
そこで、今日買い物に行き、
売れ残り処分と思われる180円のパンツ3枚と、ちょっと高価な280円のパンツを買ったのです。
勿論、自分の引き出しに買ったままの状態で入れました。

 殿が帰宅してふと見ると、
既に風呂から出て悠然とソファーに座っているではありませんか。

 その時妻が、「アアーー!!」と叫びました。
なんと殿は私の280円のパンツを勝手にはいているのでありました。
大人気ない老人は、「俺のパンツを返せ!」と言ってしまったのでした。

 すると目の前で、殿がパンツに手をやって下ろそうとしたので、あわてて、
「モーエー、ハイトケ!」と降伏しました。

 次に気づくと、靴下もやられていました。

 殿は常時家の中のものを点検しており、目ぼしい物はすばやく見つけ、自分のものにします。
大殿のパンツも完全に支配されております。

 もうアカン!日本の将来と同じぐらい絶望や!

 以上、自閉症の殿のお父さんが連絡帳で知らせてくれた一こまです。

 返信は、
 「笑いました。愛人が迫ってきた時のために、勝負パンツはカギ付きの引き出しに入れるべきでしょう。カギは、肌身離さず保管すべし。」


 陶友 でも、似たような日々で、
師匠の陶芸の道具を勝手に自分のものにしたり、気にいったものは何でも自分のお気に入りの場所に並べたり・・・。

 ・・・私は絶望せず、
「自分が思うようには行かないものだ・・・」と、半ば「諦め」つつ気長に行こうと思ってますが・・・。
時々、「モー、エエー!」となります。
日本の将来は、頑張りによって変えられるから、これは別と思います。

 天気が悪いと、気圧のせいか調子が悪くなる殿だが、
ここのところは好調で、今日もマグカップ作りに勤しんでいます。
日々前進である。
・・・ほんの少しずつ。

テーマ:自閉症児の親 - ジャンル:福祉・ボランティア

鬼瓦

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「合理的配慮」義務について考える。 
 障害者権利条約第2条は、意図的な区別や排除、制限という「直接的差別」は勿論、意図せずとも結果的に不平等を招くような取り扱いも「間接差別」として、「障害に基づく差別」としています。

 さらに、障害者にとって真の平等が実現できるための配慮=「合理的配慮」をしないことも差別だと定義しています。

 そこでここでは、新しい考え方である「合理的配慮」義務について考えてみます。

 そもそも障害者の権利条約は、何も障害者に関する新しい権利を作ったというものではありません。
国際的に到達した全ての人々の権利が、障害者に保障できていない。どうすれば実質的な権利を保障できるのか。そこで採用されたのが「合理的な配慮をしよう」という考え方なのです。

 その考え方のポイントの一つは、
障害にともなう様々な不利益や不平等は、これを解消するためには、様々な改善や変更を社会の側からしなければならない、としている点です。

 つまり、障害をその当人や家族の問題や責任に帰してはいけないとする考え方です。
自立支援法などは障害自己責任論に基づく応益負担を求めているわけで、権利条約の精神からは程遠い真逆にあると言わねばなりませんね。

 もう一つのポイントは、
「合理的配慮」を、「差別」との関係でとらえるという視点です。
条文は、「障害に基づく差別には、合理的配慮を行わないことを含むあらゆる形態の差別を含む。」と明言しています。

 つまり意図的な差別や目に見える差別だけでなく(直接差別や間接差別)、合理的な配慮をせず、必用なことをしないことも差別だとしたのです。

 具体的な社会生活への参加の場面で考えると、実に多様な配慮が求められていることが分かります。レストランがバリアフリーになっているのか、公的な窓口に手話通訳者が配置されているのか、・・・挙げればキリが無いぐらいです。それだけのことが社会に求められているということです。

 ただし、
条文には「不釣合いな又は過重な負担を課さないものをいう」とあります。
この「負担」の度合いは、国や地域に拠っても相対的なものとなるでしょう。
このことが、「無理だ」ということを口実に、公的機関や大企業が合理的配慮義務から逃げる口実にしてはならないでしょう。
 同時に、合理的配慮そのものを努力義務にとどめておこうとする動きもチェックしなければなりません。

 そういう点からも、罰則規定を含む実効ある障害者差別禁止法の制定は欠かせませんね。

 こうしてみると障害者差別禁止のために、社会には徹底した取り組みが厳しく求められています。
いずれにせよ、この考え方は、障害を持つ人々の具体的な社会参加の場面で具体的に検証されるものであり、当事者や関係者の主体的なかかわりを抜きには実現することは出来ません。

 お上がこうした権利を提供するものではありません。
ましてや日本政府は、障害者自立支援法だって、権利条約には抵触しないとする脳天気な考えですから・・・。

 権利は、たたかい取らなければ手にすることはできません。

 
 


第2条 定義

 「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、合理的配慮を行わないことを含むあらゆる形態の差別を含む。

 「合理的配慮」とは、障害のある人が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し又は行使することを確保するための必要かつ適切な変更及び調整であって、特定の場合に必要とされるものであり、かつ、不釣合いな又は過重な負担を課さないものをいう。

 参考までに、「合理的配慮」は、英語原文ではReasonable Accommodation、フランス語では”道理にかなった修正””分別のある改修」などというそうだ。

テーマ:障害者作業所 - ジャンル:日記

鬼瓦

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「障害者差別とは」・・・「障害者権利条約」に学ぶ。 
 障害者に対する差別問題を考える時、日本では、まだまだ障害を直接原因、理由とした直接差別だけしか問題にされていないような気がします。政府レベルでも、国民の意識においても・・・。
 
 障害者権利条約は、「障害に基づく差別」を、次のように定義しています。

第2条 定義

 「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、合理的配慮を行わないことを含むあらゆる形態の差別を含む。

 「合理的配慮」とは、障害のある人が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し又は行使することを確保するための必要かつ適切な変更及び調整であって、特定の場合に必要とされるものであり、かつ、不釣合いな又は過重な負担を課さないものをいう。

 例えば、入学試験や採用試験の場合を考えてみましょう。
障害を理由に試験が受けられないとすれば、それは明らかな直接差別です。

 しかし、試験は受けられたとしても、視覚障害者には、点字や拡大文字などがなければ、実質的に平等には試験は受けられません。或いは、筆記に時間がかかる肢体障害者の場合、時間延長などの配慮がなければ、実質的な排除がなされるでしょう。

 また、障害のある人が働こうとすれば、職場のバリアフリー化や補助器具等も必要でしょうし、サポートしてくれる介助者も必要になってきます。

 これらの配慮があって初めて、障害者にとって真の参加と平等が保障されるわけです。

第2条は、意図的な区別や排除、制限という「直接的差別」は勿論、意図せずとも結果的に不平等を招くような取り扱いも「間接差別」として、「障害に基づく差別」としているのです。

 さらに、上述したような、障害者にとって真の平等が実現できるための配慮=「合理的配慮」をしないことも差別だと定義しているのです。

 そうした上で、締約国に以下のことを明確に求めています。

第5条 平等及び非差別〔無差別〕
1  締約国は、すべての者が、法律の前及び下において平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等な保護及び利益を受ける権利を有することを認める。

2  締約国は、障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、障害のある人に対していかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な法的保護を保障する。

3  締約国は、平等を促進し及び差別を撤廃するため、合理的配慮が行われることを確保するためのすべての適切な措置をとる。

4  障害のある人の事実上の平等を促進し又は達成するために必要な特定の措置は、この条約に定める差別と解してはならない。

 
 しかし、わが国には、何が差別かを定義し、その救済方法を明らかにしたような法律がありません。
 
 例えば、障害者基本法で、その基本理念や国の責務においても、「差別」という用語は次のようにしか出てきません。

(基本的理念)
第三条  すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する。
2  すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられる。
3  何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。

(国及び地方公共団体の責務)
第四条  国及び地方公共団体は、障害者の権利の擁護及び障害者に対する差別の防止を図りつつ障害者の自立及び社会参加を支援すること等により、障害者の福祉を増進する責務を有する。

(国民の責務)
第六条  国民は、社会連帯の理念に基づき、障害者の福祉の増進に協力するよう努めなければならない。
2  国民は、社会連帯の理念に基づき、障害者の人権が尊重され、障害者が差別されることなく、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することができる社会の実現に寄与するよう努めなければならない。


 
 以上、見てきたように、「障害者差別禁止」は、大変な努力を要するものです。
「障害者差別禁止法を」の声は日に日に大きくなっています。議論を大きく拡げ、その制定を実現しなければなりません。

 次回は、新しい概念である「合理的配慮義務」についてもう少し見てみたいと思います。

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鬼瓦

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障害者差別・・・ある?感じる? 
 先日のテレビ番組、たけしの「世界丸見え・・・」?で、オランダでの障害者のミスコンテストのビデオが紹介されていた。確かに、普通のミス・コンもあるから、差別なく障害者もあり・・・ということだそうだが、そもそもミス・コン?
 流石の毒舌たけしも突っ込めず、「この番組は文化だ」とか何とか言って、自分のコスプレをバツが悪そうに揶揄していたんだが・・・。
 ・・・違和感はぬぐえなかった。

 さて、障害者差別の存在に関する、内閣府による二つの調査の記事がある。
一つは、障害当事者のもので、もう一つは一般市民のそれだ。以下に紹介する。

障害者差別、雇用でも福祉でも 内閣府が白書で指摘 (朝日 2009年5月26日11時35分)
http://www.asahi.com/politics/update/0526/TKY200905260102.html

 政府は26日、内閣府がまとめた「09年障害者白書」を閣議決定した。障害者が日ごろ受けている差別について初めて調査。「雇用・就業」の分野で最も多くの「差別」事例が寄せられた。

 調査は今年1月~3月、全国5071人の障害者を対象にアンケートし、1654人から回答を得た。障害者基本法は、障害を理由とした差別を禁じているが、何が差別にあたるのか明示されていない。政府は障害者の差別を禁じる「障害者の権利条約」の批准に向け、差別の定義を盛り込むため基本法の改正作業中で、今回の調査結果も活用する。

 障害者自身が日ごろ差別に当たると考え、してほしくない事例として寄せられたのは4383件。分野別に見ると、雇用が1012件と最も多く、「賃金などの差別的取り扱い」「職場での差別的言動」「車いすの利用などを理由とする採用の拒否」など。次いで福祉サービスの利用を拒否されるなど福祉分野で726件、重度の障害を理由とした治療・入院を拒否されるなど医療分野で565件あった。


9割が「障害差別」感じる=内閣府のインターネット調査 (時事 2009/06/27-00:16)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009062700004

 日本の社会で、障害を理由とする差別があると感じている人は9割を超えていることが26日、内閣府が公表した意識調査で分かった。内閣府は「障害者の権利条約の認知度を高めるとともに、差別の防止を図っていきたい」としている。
 調査は今年4月から5月にかけ、インターネットモニターを通じて実施。15歳以上80歳未満の男女1050人から回答を得た。
 日本社会で障害を理由とする差別の存在を聞いたところ、「ある」「少しはある」を合わせて91.5%に上った。「ない」は3.7%だった。また、障害を理由とする差別をしている人の意識では、「無意識」「どちらかというと無意識」の合計が65.3%で、「意図的」「どちらかというと意図的」の合計28.3%を大きく上回った。 
 政府は2007年9月に署名した、障害者に健常者と同等の権利を保障する国際条約「障害者の権利条約」の批准を目指している。障害者の権利条約の認知度についても調査したが、条約の中身も含めて知っていると答えた割合は2.1%にとどまった。


 皆さんはこの結果をどうごらんになるでしょうか?

 いずれも内閣府が、障害者差別を防止し、障害者権利条約を広く知らせるために行ったとされている調査の結果についてのものだと言うが、これはその目的からすればお粗末だ。

 ここで扱われている障害者差別は、障害を理由とする不利益扱いに関するものであり、狭義の障害者差別=直接差別を問題にしているに過ぎない。

 果たして、直接差別=不利益取り扱いをなくすだけで障害者差別はなくすることが出来るのでしょうか。障害者の権利条約は、もっと広い概念で障害者差別を捉え、差別禁止を呼びかけています。

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鬼瓦

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